第2回 プロローグ2

溶岩チューブは、溶岩が流れだした後に出来る空洞で、たとえば、日本では富士山麓に多数有る洞窟の殆どがそうです。これらは風穴とか氷穴とよばれていたりするようです。隣韓国の済州島にもたくさんあり、中でも万丈窟は、規模も大きく、見応えがあります。また、例えば火山活動が激しく起こっているハワイ島では、溶岩チューブが、まさに、できていくのを、見る事ができます。

溶岩チューブの作られ方については、いくつかの様式があるようです。たとえば、火山の噴火により溶岩が流れ出すとき、その溶岩の表面は、すぐ冷えて固まります。しかし、一方で、固まった表面の下ではまだ、溶岩は、熱いままなので流れ続けます。やがて噴火活動が収まると、中を流れる溶岩がだんだんと少なくなり、やがて溶岩が抜けきって、空洞が残ることになります。これが、溶岩チューブとなって残る、というものです。溶岩流が地表面に出なくとも、地下の比較的、弱い層を掘り進めていった場合でも、やはり溶岩チューブとして、地下に空洞が出来ます。

こうした、溶岩チューブは、流れやすい(専門の言葉で言うと、粘性の低い)溶岩の場合に形られやすいと言われています。このような溶岩の代表例は、玄武岩質溶岩というもので、実際、ハワイや、富士山の溶岩チューブを作っています。

ところで、月の表面には、黒い部分が見えます。ウサギが餅をついている様子に見えるところ、です。そこは、「海」と呼ばれ、白い部分である「高地」と分けられます。この部分は、昔、天体望遠鏡で見たとき、とても平らそうだったので、まさに「海」だと思われていたようです。しかし、地上からの観測技術が発達し、更には探査機が訪れ、月の海は溶岩からできているということがわかっています。そして、この月の海の溶岩こそは、玄武岩質のもので、溶岩チューブができても、おかしくないとされてきたのです。