宇宙は放射線にあふれています。特に太陽からやってくる電磁波や、電気を帯びた粒子(プラズマといいます)の量は、とても多いです。これらが地上にそのまま到達したら、我々人類、そして多くの生命は、分子のレベルで破壊され、とても生き残ってこれなかったでしょう。1989年には、これまでで最大級の放射線が観測されています。それは、地球の周り、つまり月面では4Svを超えるほどの量でした。1Svでも、人間は死に至る、といいます。このような放射線に直接さらされた場合、大変危険です。幸いなことに、地球には、大気が存在し、更には磁場が存在しています。大気と磁場は、地上の生命を、こうした太陽や宇宙からの放射線やプラズマをさえぎって守ってくれているのです。
しかし、地球と異なり月は、大気も磁場も持ちません。月が地球の周りを一周回るのは1ヶ月ですが、その間のごく短い期間は地球の磁場の影響下にあるところに入ります。しかし、それは一週間にもみたない程度です。つまり、月面は、膨大な放射線とプラズマに、ほとんど常に直接さらされているところなのです。
隕石の落下、極高温と極低温の繰り返し、あふれる放射線。月面の環境は、とても過酷で、滞在することには大変なリスクを伴います。アポロ宇宙飛行士のように、2-3日の滞在なら、そのリスクも低く抑えられるでしょう。しかし、長期の滞在をするには、それらを防ぐ手をなにかしら考えなければいけません。
そこで、考えられたのが、基地に砂をかぶせることでした。しかし、それも実は、色々と問題がありました。